スティール・ボール・ラン

STEEL BALL RUN スティール・ボール・ラン 24 (ジャンプコミックス)

STEEL BALL RUN スティール・ボール・ラン 24 (ジャンプコミックス)

最終巻。素晴らしかった。


ジョジョは5部以降、ラスボスの倒し方がやたらアッサリしている。
ラスボスってのはつまり、戦闘能力が究極的な所まで行っちゃってる個体なので、真正面から戦っては絶対に勝てない。絶対に勝てない敵にどうやって勝つかって言うと、ジャンプに限らず少年マンガは、精神論と友情の力で乗り越える。
ジョジョも基本的にはそれを踏襲している。少年マンガだからね。
なんだけど6部以降、主人公は、ラスボスのその究極的な戦闘能力に敗北している。ジョリーンやらアナスイやらはプッチ神父に普通に秒殺された。ジャイロはボールブレイカーに開眼した上で、しかし大統領に敗れた。ジョニィもAct4を克服されている。ジョルノにしたって、基本的にはボスに勝っていない。
今まで基本的に無敗を誇ってきた主人公が敗れる、という描写が明確に入ってくる。1対1の決闘では絶対に勝てない。それがラスボスなのだ。


じゃあそのラスボスにどうやって勝つのかと言うと、ここでまぁ言うたら友情的な話になってくるんだけど、友情パワーうおおーとかそういうんじゃなくて、しっかり伏線を張っていて、それで勝つってのがちゃんと出てくるので、すごく腑に落ちる。
プッチ神父は自身の利益のためにウェザー・リポートを利用し、殺害し、しかしその結果として敗れた。大統領や、その能力で基本の世界にやってきたディオも、その世界を渡る能力自体が最後の最後で敗北の原因となった。友情と言えば友情みたいなもんもあるんだけど、どちらかと言えば「敗れる運命にあった」というのが強調されている。
究極的な戦闘力を持つラスボスだが、主人公たちの意志の下に、そして自身の悪の行為の結果として、敗れるべくして敗れるのだ。
これが精神論では無く、理に基づいて描かれているので、読んでても気分が良い。スカッとするし、その上で荒木先生がどういう気持ち、考え、7部ラストの言葉を使えば、祈りを持っているのかというのも感じられる。とてもいい。


早速8部がはじまっているという事だけど、本誌は買っていないので、単行本化が楽しみです。